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新型コロナ恐慌

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世界同時の大暴落が株式市場を襲っている

3月12日のニューヨーク株式市場は、ダウ工業株30種平均が終値ベースで過去最大となる2300ドルを超える下げ幅を記録。これを受け3月13日の東京株式市場でも日経平均株価が取引開始直後から大暴落した。終値こそ前日比1128円安の1万7431円台で引けたものの、取引時間中には一時1800円超の値下がり幅となり、取引時間中としては1990年以来、約30年ぶりの記録的な下げ幅となった。

新型コロナウイルスの感染拡大が世界に拡大し、WHO(世界保健機関)が「パンデミック」と表明したことで、世界は新しいステージに入ったと言っていいだろう。

ニューヨーク株式市場では、価格が一定程度変動した際に取引を強制的に停止させるサーキットブレーカーがこの1週間の間に2度も作動するなど株価は大暴落し、実体経済にも大きな影響が出始めている。リーマンショック時の金融不安、東日本大震災のときのようなリアル経済のパニックが同時に襲い掛かっている。

このままいけば、最悪の事態も想定しておく必要があるのかもしれない。例えば、1929年の世界大恐慌や日本を襲った昭和恐慌に匹敵するような景気後退が起こらないとも限らない。

われわれは、どんなリスクに直面しようとしているのか……。リスクを認識して、きたるべき危機に備えるにはどうすればいいのか、考えてみたい。

最大のリスクはアメリカの景気後退?

新型コロナウイルスによる感染拡大が、ついにニューヨーク株式市場の史上最大の下げ幅という形で表れた。アメリカにも感染拡大の可能性が広がり、そこに原油価格の暴落がダブルでやってきたためだが、もともとアメリカの株式市場はバブルに陥っており、コロナウイルスの感染拡大が重なったと考えたほうがいいかもしれない。

世界の株式市場の時価総額の半分はアメリカ市場にあり、アメリカの株式市場の動向は世界の金融マーケットに大きな影響を与える。アメリカ市場の動向次第で、世界の金融市場が大きく変動する。

アメリカが景気後退に陥れば、世界も景気後退に陥る。新型コロナウイルスで景気後退が懸念されるのも、アメリカ経済を心配してのことだ。

サーキットブレーカーは「S&P500」や「ダウ工業株30種平均」といった代表的な株価指数の下落幅が7%を超えると、市場の取引が15分間停止され、さらに13%の下落で15分、20%まで行くとその日の取引は中止になる。アメリカの株式市場の長い歴史の中で、サーキットブレーカーが作動したのは1997年のアジア通貨危機以来のこと。しかしながら、今年3月の第2週は2回も作動してしまった。

アメリカに対してはコロナウイルス感染拡大への対応が十分ではないという指摘がある。日本時間の3月12日(現地時間11日)に行われていた「なでしこジャパン」とアメリカの女子サッカーの試合でも、観客席はほとんど満員に近い状態で入っていたし、欧州からの入国規制は実施したものの国内のイベントなどに制限はない。

医療システム弱く格差拡大や大統領選も懸念

もともとアメリカには、感染爆発を心配するいくつかの要因がそろっている。1つは皆保険制度がないために、一般市民の医療システムがほとんど機能していない点だ。アメリカの診療費の高さは有名で、毎月2万円ずつ保険料を支払っていても、風邪で診察を受けただけで5000円程度の治療費がかかると言われている。一般市民が気軽に医療を受けられる仕組みになっていない。

2つ目の懸念は、ホームレスが多いことだ。健康保険にも入っていないホームレスがバタバタと倒れて、新型コロナウイルスの感染がわかる事態になりかねない。格差社会は、こうしたパンデミックに弱い。

そして最後の懸念が、大統領選挙の最中であるということ。すでに候補者が決まっているに近い共和党大会でさえ、トランプ大統領が赴いて数多くの観衆の前で演説をする。それがアメリカのスタイルであり、クラスター(集団感染)の大きな懸念となっている。

例えば、航空会社大手のボーイングは、138億ドル(約1兆4300億円)の融資枠を3月13日にも使い切る計画だ、とブルームバーグが報道している(2020年3月12日配信記事)。新型コロナ感染拡大の対策として、手元資金を増やす狙いとみられる。ボーイングのような大手企業でさえも、金融機関からの融資が細るのを警戒して、経済全体の資金供給量が減少する信用収縮に備えようとしているわけだ。

こうしたケースを見てもわかるように、今回の新型コロナウイルスによる感染拡大が経済に大きな影響を与えるのは、その先行きが見えないからだ。感染症の専門家たちの見解を総合すると、パンデミックが収まる時期というのは、究極の場合、次の2つしかないようだ。

●「ワクチン」の開発が成功する
●国民の大半が感染して「集団免疫」を作る

どちらにしても時間がかかるはずで、残念ながらそう簡単に事態が収束する可能性はほとんどないと言っていい。問題は、どの程度感染拡大の規模を縮小することができるかにある。世界では日本のようにいち早く一斉休校やイベント自粛に着手する方法を選んだ国と、イタリアや韓国のようにPCR検査の数を増やして感染爆発の実態がわかってから、学校や店舗、道路などの閉鎖措置をとる方法に分かれている。

日本の方法は、ひょっとしたら急速な感染拡大をある程度抑制させられるかもしれない。しかし、その副作用として企業活動を停止させる時間が長くなってしまうというのが欠点だ。PCR検査の体制を整えていないために、いつまでたってもだらだらと感染者が出てきてしまうような状況に陥る可能性もある。

長期にわたる企業活動の停止は、実は大きな犠牲を強いる可能性がある。その代償は、リーマンショックや東日本大震災を大きく上回る規模になるかもしれない。このままいけば、今年4~5月あたりには資金繰りに窮した中小企業や大手企業の一部で経営破綻する企業が出てくる可能性がある。もともとマイナス金利で疲弊していた金融機関が破綻するシナリオすらありうる。

日本はバブル崩壊後、デフレと叫んで来たが、30年近く続くとこれが本当の姿ではないのか?

と考えてしまう。

とにかく、お金を集めるのが大変な時代なのは確かだ。