昔から、生活の中で「土地ほど高価な財産はない。」と言われてきています。
しかし、土地を買うときに、他人任せの取引きをしてしまってトラブルに巻き込まれてしまったケースも多いようです。
不動産広告は、土地を求める人々に対して色々な情報を提供してくれています。
専門知識を持っている人には便利なものでしょうが、一般の人には分かリにくい広告も少なくありません。
購入にあたっては、自分の責任において十分な事前調査を行い、納得出来るものを選びましょう。
不動産業者は宅地建物取引業を営む場合に、宅地建物取引業法に基づく都道府県知事の免許が必要です。
業者から土地を購入しようとするときは、その業者が免許を持った信用ある業者であるかを必ず調べましよう。
又、可能な限り積極的に情報収集をしましょう。
広告や業者からの斡旋などで気に入った土地があっても、実際に自分で現地へ行くことで、環境や周辺の状況、交通や道路事情の調査、工場などの付近であれば震動や騒音状況、雨の日であれば、道路の良し悪し、排水施設の具合などを把握することが出来ます。「情報は絶対だ。」と100パーセント信用することなく自分の目で確認することが大切です。
【生活に適した環境ですか?】
- 自然環境について・・・日照、通風の良否、周囲の騒音状態、公園、緑地の配置など
- 立地条件について・・・通学の便、駅、商店街、銀行、郵便局、病院への距離など
- 公共施設について・・・雨水・汚水排水施設、道路、水道、電気、ガス、電話など
【土地の状態、周辺の状況はどうですか?】
土地の面積、形状、方位について、また、ガケ崩れのおそれはないか、湿潤地ではないか、又は、近い将来に、周辺の土地利用が大幅に変ってしまうおそれはないか、などについて調べましょう。
【敷地に接するすべての土地との境界は、はっきりしていますか?】
境界についてのトラブルが後をたちません。契約する前に境界についてどのようになっているのかを調べましょう。
境界は所有権の範囲を確定する重要な要素ですので、実測図、境界杭などを確認し、将来に問題を残さないようにしておくことが大切です。
特に境界が「斜面」、「擁壁」などにある場合には注意してください。
必要であれば、現在の所有者に境界の確定をお願いしましょう。
自分の土地であれば、どんなものでも自由に建てられるとは限りません。「都市計画法」、「建築基準法」などで家を建てるルールが定められています。
【敷地は道路に接していますか?】
建物の敷地は、原則として建築基準法による幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりませんので、特に注意が必要です。(接道規定)
なお、道路から専用通路で奥に入った敷地の場合は建築物の用途により通路の長さ、通路幅が条例で規定されています。
また、昔からある道路は道路中心、又は、一方より2メートル後退することにより幅員4メートル未満でも建築できる場合があります。(中心後退)
建築基準法による道路については、 市役所 建築指導課で調べることができます。
※ 道路の中には、建築基準法に規定する道路でないものもあります。中には「法第43条ただし書き」(接道規定の特例)の適用が可能な道もありますが、その適用に当たっては許可手続きが必要となっています。必ず 市役所 建築指導課にご相談下さい。
【都市計画区域内の市街化区域ですか?】
【都市計画区域内の市街化調整区域ですか?】
【都市計画区域外ですか?】
奈良市は都市計画区域内と都市計画区域外(月ヶ瀬・都祁)に分かれます。都市計画区域内の土地は都市計画法に基づき、市街化区域と市街化調整区域に区分されています。
このうち、市街化調整区域では、市街化を抑制しているため法令により許可を受けた場合等を除いて建物を建てることができませんので、この区域については十分調査して 市役所 開発指導課までご相談ください。
なお、許可を受けた場合であっても、許可の内容と異なる時(建築主や敷地の範囲等)は、許可が取り消されることがあります。
【用途地域の指定は何ですか?】
市街化区域は一般に指定された用途地域の制限によって建物を建てることができます。
関連性のない用途の建築物が無秩序に混在すると良好な生活環境を得ることが難しくなります。
奈良市内では用途地域として〔第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域〕と11種類の地域が指定されており、それぞれの地域に適応した建物を建てることとされています。
したがって、地域によっては建てられない用途の建物があります。
また、それぞれの地域に応じて建ぺい率、容積率、壁面後退等その他の規制があります。
【高度地区の指定は何ですか?】
建物の高さを制限するため、建築基準法で定められている高さ制限のほか、都市計画法上の高度地区の制限があります。
奈良市では高度地区として〔10m高度地区、15m高度地区、15m斜線高度地区、15m高度地区(勾配屋根緩和型)、20m高度地区、25m高度地区、31m高度地区、40m高度地区〕まで8種類の地区が指定されています。
【防火地域、準防火地域の指定はありますか?】
防火地域及び準防火地域は、市街地における延焼および類焼による災害の拡大を防除し、都市の不燃化を図るため指定されています。
耐火建築物または準耐火建築物あるいは防火構造などの制限を受けますので、その指定の有無及び制限内容について、よく調べて下さい。
【風致地区の指定はありますか?】
風致地区は、自然の緑を守り、付近の景観を重視し住みよい街づくりを目的として、〔建築物・工作物の建設、土地の形質の変更、木竹の伐採など〕を規制しています。
また、それぞれの地域に応じて〔建ぺい率、建物の高さ、壁面後退距離、緑地率等〕の制限があります。建築の外観についても良好な風致景観を維持できるように制限を受けます。
【都市計画施設との関連はありませんか?】
都市計画道路、都市計画河川などの予定線内に建物を建てるときには、通常の手続に先立って、市長の特別の許可が必要です。
特に、鉄筋コンクリート造の建物、地階のある建物などは許可されませんので注意が必要です。
【その他の地域、地区について‥‥‥】
その他、「歴史的風土保存区域」、「宅地造成工事規制区域」、「急傾斜地崩壊危険区域」、「砂防指定地」、「農業振興」、「奈良町都市景観形成地区」などに指定されているところはそれぞれの規制を受けますので、よく調べましょう。
建築協定区域内では、「住宅地の環境を向上するため」などの目的で、建築基準法などの法令の制限以外の規制がありますので、それを守らなければなりません。
地区の良好な環境を形成、保全するために住民と関係する権利者の話し合いで決めるまちづくりのルールとして「地区計画」等が決定されている地域もあります。
これまで述べた地域、地区などの指定について大体のことは、奈良市の都市計画図でわかりますが、くわしい状況については 都市整備部 の担当課で調べてください。
(電話での問合せは不正確でトラブルのもとになるのでやめましょう。)
土地には、いろいろむずかしい法律問題があります。
まず、公図により現地の地番を調べ、土地の登記簿謄本で、次のことを確認しましょう。
【地番、地目、面積、所有者その他の権利者とその種類は?】
土地の基本的事項ですので、よく調べましょう。特に地目が農地の場合には、契約までに宅地に変更できるかどうか確かめる必要があります。
また、登記簿上の面積と実測面積が違う場合は、後にトラブルの原因となりますので、どちらで契約するかについて十分な注意が必要です。
【抵当権、借地権、地役権(通行権など)の有無はありますか?】
これらの権利がついている場合は契約までに抹消することができるかどうか、十分納得がいくまで確かめることが大切です。
不動産業者が宅地や建物を取り引きしようとする場合は、宅地建物取引業法によって、重要な事項(登記簿の記載事項、法令による制限の概要、私道の負担区分、電気、水道、ガスなどの整備状況など)について書面で説明することが義務づけられています。
必ず、物件説明書を受けとり、よく調べましょう。
宅地を造成する場合には、そのための法的規制や行政指導があります。
従って、造成地を購入する場合には、まず、それはどんな法律の許可を受けているのか、現場の工事だけでなく、法律的にもきちんと完了しているかどうかについて調べる必要があります。
万一、法律的に完了していないと建物が建てられないことがありますので注意しましょう。
【規模の大きな造成地を購入する場合】
通常、500m2以上のまとまった造成地は、
- 土地区画整理法による土地区画整理事業
- 都市計画法による開発行為
- 旧住宅地造成事業法に関する法律(以下「旧住造法」)による造成事業
のいずれかによって造成されたものです。
また、昭和45年以前であれば、建築基準法による「道路の位置の指定」で、造成されたところもあります。
宅地造成等規制法(以下「宅造法」)による宅地造成工事規制区域内でこれらの事業を行えば、いずれも、同時に宅造法の許可が行われるのが一般的です。
ただし、旧住造法による造成事業、昭和41年以前の建築基準法による「道路の位置の指定」による造成事業、昭和41年以前の土地区画整理事業及び平成19年以降の都市計画法による開発行為は除きます。
まず、土地区画整理法の適用をうけた者は、区画整理の換地処分が終わっているか、また、宅造法の検査済証が交付されているか調べましょう。
次に、都市計画法(開発許可)の適用をうけたものは、同法の検査済証が交付されているか、完了告示がなされているか調べましょう。
また、旧住造法の適用をうけたものも、同法の完了公告がなされていることが原則となっているので調べましょう。
【規模の小さな造成地を購入する場合】
500m2未満の造成地は、通常、宅造法(宅地造成工事規制区域内)により造成されたものです。
この場合は、宅造法の許可の有無、検査済証等が交付されているかどうか調べてください。
上記に該当しない造成地で、高さ2mを超える擁壁がある場合は、その擁壁について建築基準法による確認をうけなければなりませんので、その確認の有無と検査済証が交付されているかどうか調べてください。
【「道路の位置の指定」がなされているか?】
今までに述べた造成地のほか、全く造成行為のない場合でも、宅地を利用できるようにするため、新たな道路(私道)を造ることがあります。
この場合は、その道路について建築基準法による「道路の位置の指定」がなされているかどうか調べる必要があります。
この「指定」がなされていないと「道路」形態はあっても法律上は道路として扱われないため、家を建てることは出来ませんので十分注意が必要です。
(「道路の位置の指定」については、 市役所 建築指導課で調べることが出来ます。)
【その他、次のことにも注意しましょう!】
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造成地での敷地の細分割は、良好な住環境を損なうのでやめましょう。
- 都市計画法による開発行為による造成宅地の場合は、用途地域や風致地区によって、敷地面積の最低限度(奈良市開発指導要綱)が定められています。
分割することは、過小宅地をつくり、せっかくのお互いの良好な住環境をそこなうのでやめましょう。
- 都市計画法による開発行為による造成宅地の場合は、用途地域や風致地区によって、敷地面積の最低限度(奈良市開発指導要綱)が定められています。
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擁壁の上にさらに擁壁を造っていませんか?
- 敷地を広くするために、既存の擁壁の上にさらに擁壁を増し積みしている例が見受けられますが、このような増し積みは法律上認められないだけでなく、宅地としての安全性を弱め、結果として自分の財産に傷をつけると同時に、周辺にも危害をもたらす原因となりますので注意しなければなりません。
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建築用のコンクリートブロックで擁壁を造っていませんか?
- 建築用のコンクリートブロックで擁壁としている例が見受けられますが、宅造法の認定二次製品以外は、土をとめる資材としては認めらないだけでなく、宅地としての安全性を弱め、結果として自分の財産に傷をつけると同時に、周辺にも危害をもたらす原因となりますので注意しなければなりません。
家を建てるために、500m2以上の面積がある土地に、新たに道路を造ったり、造成をしたりする場合は、都市計画法の開発許可が必要となります。
また、たとえば、田(畑)の一部を譲り受け、建物を建てようとする場合、田(畑)の残り部分も建築計画があり、その両方の敷地面積の合計が500m2以上のときは、開発許可が必要となる場合がありますから、あらかじめ開発指導課に相談してください。
- 開発許可とは・・・・
- 良好な市街地をつくるために、都市計画法の中で設けられた制度で、奈良市では昭和45年から実施しており、開発者に対し一定の技術水準に適合した宅地の整備と、規模により道路、下水道、公園等の公共施設の整備を義務づけています。
地価が安いということで、ガケ地や斜面地にとびつくのは危険です。
以下のことに十分注意し、専門家と相談のうえ購入しましょう。
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造成が必要な場合
- ガケ地や斜面地のほとんどは、造成工事をして、土地を平らにしてからでなければ、宅地として利用できない土地です。
安い土地を買っても、その後の造成工事が意外に高くつき、結局高価な土地になります。
あらかじめ、造成工事の費用を調べてからその土地を買うかどうかを決めましょう。
造成するには、軽微なものを除いて、宅造法の「許可」や建築基準法による「工作物の確認」が必要となります。
また、規模によっては、都市計画法の「開発許可」も必要になります。
安全な宅地を造るためにも、この手続きを忘れないでください。
- ガケ地や斜面地のほとんどは、造成工事をして、土地を平らにしてからでなければ、宅地として利用できない土地です。
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家を建てるのに適さない土地もあります。
また、ガケが高い、土質がやわらかい、勾配がきついというような土地は、防災工事が困難で家を建てる際には通常よりも経費がかかることを念頭に置きましょう。
宅造許可を得た宅地や、建築基準法による確認をうけて築造した擁壁で検査済証が交付されているものは、安全と考えられる目安となります。
ガケや擁壁の安全性が確認できない場合、ガケから建物を離したり、建物の基礎を深く入れたりする必要がでてくることもあります。
なお、既存のガケの安全性に問題がある場合には、そのガケの所有者などに改善の勧告又は命令がなされることがあります。
また、斜面にはね出したコンクリート床板等で造った、いわいる人工地盤は擁壁やガケの崩壊の原因になることがありますので、そのおそれがあるときは改善することが必要です。
弱い地盤に建築する場合、工事費が高くついてしまうこともありますし、また、これからの生活の安全性にも深く関わってきます。
地盤の調査は建築士等の専門家に相談し、十分に行いましょう。