歴史的な文化遺産と緑豊かな自然は、人々にうるおいを与えてくれます。
この恵まれた環境を守り、住む人そして訪れる人が魅力を感じ、快適で安全に過ごせる街づくりが必要です。
まちづくりにおいて、行政の果たすべき役割は大きなものがありますが、それ以上に地域での市民の連帯と自主的な活動はよりいっそう大切なものです。
その中にあって市民のみなさんと行政が一体となり、創意工夫を重ね「よりよい街づくり」を進めていく方法の一つに建築協定があります。
このページは、このように生活環境を守り、育てていこうとする方々のために、建築協定制度をご紹介し、「この街に住んでよかった。また子供達がこの街に生まれてよかった」と言える街づくりを実現するためのページです。
地域の街づくりにご活用下さい。
■ よりよい街づくりのために
私たちの住んでいる街は、都市計画法により、便利で安全な暮らしやすい「街づくり」を目標に総合的な計画が決められています。
しかし、全体的な計画だけでは、地域のきめ細かな街づくりのニーズに対応できないため、地域レベルの街づくりの計画を推進するため都市計画法に基づく地区計画制度、建築基準法に基づく建築協定制度や任意の街づくり協定などがあります。
それぞれの制度は、成立するための手続きは異なりますが、基本的には地域住民の街づくりに対する積極的な意向が重要であり、住民自らルールを取り決め、それを守るという精神が不可欠です。
■ 建築協定って何?
私たちが生活している社会では、秩序を守るためにたくさんの法律で色々なことが規制されています。
建物を建てる場合も、安全で住みよい街づくりのため建築基準法で基本的なルールを定めています。 しかし、地域の特性を生かした魅力ある街づくりを実現するためには、必ずしも充分なルールとは言えません。
そこで、地域の住民が自発的に建築基準法の基準以上のルールを取り決めて、それらをお互いに守り合うことを制度化したのが「建築協定」です。
住宅地においては、魅力的で住み良い環境にするためなどを目的とした制度であり、1.協定の区域2.建築物又は敷地に関する基準 3.協定の有効期間4.協定違反があった場合の措置等について定めることが出来ます。
建築協定には、2種類のタイプがあります。ひとつは地域住民が話し合いのうえ協定内容を取り決めて全員が同意する「合意協定」です。もう一つは開発業者等が分譲開始前に協定内容を定めておく「一人協定」です。
いずれのタイプの協定であっても、より良い街づくりを行うためには、そこに住む人々が協定を守り合うという気持ちが最も重要です。
事前に地域の住民の方々で準備委員会を組織します。
■ 協定の内容を考える
建築協定を結ぶためには必ず協定区域、 協定内容、有効期間、違反があった場合の措置について定めなければなりません。
既存の住宅地では、あまり欲ばらずに、全員の賛成が得られる内容にまとめることが大切です。
たとえ一つのことでも協定ができると、よりよい街づくりにつながります。
【協定書づくりのコツ】
建築物の制限内容の例
敷地 |
敷地分割の禁止 |
敷地最小面積の設定 | |
位置 |
道路境界線又は隣地境界線から建築物の外壁までの距離 |
構造 |
建築物の構造を、耐火建築物とする。 |
ブロック塀の禁止 | |
用途 |
共同住宅の禁止 |
店舗の禁止 | |
形態 |
階数は2階以下 |
最高高さは9m以下 | |
軒高さは7m以下 | |
塀の高さは1.2m以下 | |
意匠 |
建築物の屋根及び外壁の色彩・形の統一 |
■ 協定内容がまとまったら
【協定の運営】
- 土地の所有者等の中から何人かの委員を選び、その人達により運営委員会を組織します。
- 運営委員は、協定内容の解釈などについて協定者の意見をまとめ協定を運営していきます。
【協定者の合意】
- 協定区域内の土地の所有者等全員の合意が必要です。
(借地権者の合意がある場合は、土地所有者の合意が無くても結構です)
【協定の認可申請】
- 全員の合意が得られたら代表者が市長に協定の認可申請をします。
- 認可申請を受理後、建築基準法に基づく手続きを経て、奈良市長が認可すれば建築協定は成立し、効力を発することになります。
必要提出書類 |
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(全員の委任状等) |
【建築協定の手続きから認可公告までの流れ図】
<住民> | <市> | |||||||||||
街づくりのための十分な話し合い 1.協定区域 2.協定内容 3.有効期間 |
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事前相談(建築指導課) | ||||||||||||
建築協定書の作成(全員合意) | ||||||||||||
認可申請書作成 | ||||||||||||
受付・公告・縦覧(20日以上) | ||||||||||||
公開による意見の聴取(公聴会) | ||||||||||||
認可 | ||||||||||||
認可書の受領 | 公告 | |||||||||||
認可書の写しを協定者に配布 | 縦覧 | |||||||||||
協定を守り住みよい街づくり | ||||||||||||
の色部分は協定者の作業です |
【建築協定区域内で建築する場合の流れ図】
建築協定区域内で家を建てたり、増改築をする場合、その計画が建築協定内容にあてはまっていることが大切です。
着工したり、でき上がってからのトラブルがないように、運営委員会に建築内容をあらかじめよく説明した上で、確認申請書を市役所へ提出して下さい。
なお、確認申請の不必要な小規模改築や塀・看板等の設置であっても、協定内容により運営委員会のチェックが必要となる場合がありますのでご留意ください。
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建築物に関する基準とは
建築物等に関する基準として、「建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠または建築設備」について定めることができます。
- 純粋な住宅地にしたい
- (A)住宅用以外の建物を制限
- 一戸建住宅地の環境を守りたい
- (A)住宅を一戸建住宅に限る
- 良好な住宅地の景観を守りたい
- (A)ブロック塀を規制し、植樹等を促す、又は建物の色調は明度・彩度の高くないものとする
- プライバシーを守りたい
- (A)隣地境界線からの後退距離を定める
有効期間とは
協定違反に対する措置とは
協定は土地所有者が結ぶ契約の一種で協定締結者がお互いに守り合うものですから、あらかじめ違反行為があった場合の措置についても決めておきます。決めるべき内容としては、工事の施工停止請求、違反是正のための請求が履行されないときの裁判所への提訴などがあります。
建築協定区域隣接地を決めることが出来ます
「建築協定区域隣接地」の土地所有者は、あとから書面で意思表示するだけで協定に加入することが出来ます。
隣接地は協定締結時に決めておかなければなりません。
建築協定が成立するまで
街づくりのための話合い |
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協定書の作成 |
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協定書の申請 |
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協定の成立 |
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建築協定が成立してから
協定の運営 |
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協定の変更・廃止 |
Q&A |
A 建築協定に参加できるのは、協定区域内の土地の所有者及び借地権者(法律では「土地の所有者等」と言っています)です。
ただ、借地権の目的となっている土地については、借地をしている人が参加すれば、土地の所有者は参加しないこともできます。
借家人は建築物を建てる権限がないので、原則として参加者としていませんが、協定内容が建築物の使用におよぶ場合には参加者となります。
区域内の土地に抵当権だけを持っている人は参加できません。また、道路、公園などの所有者である県や市が参加することもありません。
Q 建築協定にあとから加入しようとする場合どんな手続きが必要ですか?
A 建築協定区域外の土地の所有者又は借地権者が新たに参加を希望するときは、建築協定の締結の場合と全く同様の手続きにより、特定行政庁の認可を受けることになります。
建築協定区域内の借地権の目的となっている土地の所有者・建築協定区域隣接地の土地の所有者等があとから加入しようとする場合には、特定行政庁に対し、書面で意思表示をすれば参加することが出来ます。
建築協定区域内の土地をあとから購入したり、借地したりする人は自動的に加入したことになりますので、運営委員会などに連絡しておくべきです。
Q 建築協定で、建築基準法が定めている基準を緩和することができますか?
A 法に定める基準は、公法上の基準であり守らねばならないものですから、たとえお互いに合意の上であっても協定で法が定めている基準を緩和することはできません。
Q 建築協定で青空駐車を禁止したり、空地の管理などを規制することはできますか?
A 建築協定は建築物に関する基準について定めることとなっていますので建物が建たない青空駐車場を禁止したり空地の管理などを規制することはできません。
Q 建築協定に違反した建物の是正は誰が行うのですか?
A 運営委員会の決定に基づき委員長が工事の停止や是正のために必要な措置を行うことになります。
よって法に基づき是正命令などを行うことはできません。
Q 建築協定区域内の土地が売買されたとき、協定の効力はどうなるのですか?
A 建築協定区域内の土地が売買されても新しい所有者に協定の効力はそのまま継承されますので、良好な住環境が維持できます。
Q 建築協定区域はどれくらいあればいいのですか?
A 建築基準法では、協定区域については、特別に「いくら以上の区域面積にしなければならない」という規定はありません。「土地について一定の区域を定め・・・」とあるだけですので、建築協定の目的にあうような環境を維持増進でき、将来的に良好な環境を確保することができるような広さが望ましいです。
Q 建築協定はどのように運営するのですか?
A 建築協定は、区域内の住宅地としての環境又は商店街としての利便を高度に維持増進することを目的として、住民自治による民主的な街づくりですから、これらの建築協定の適正な運営を図るための組織も必要です。協定に関する事項を処理するため、協定者の互選によって委員を選び、運営委員会を設置します。委員会は、協定運営の業務を総括する委員長をはじめ、副委員長、会計等の役員を定め構成します。