奈良市は、「日本人の心のふるさと」として毎年約1300万人の観光客が訪れる国際文化観光都市です。「東大寺」「興福寺」「春日大社」などの世界遺産をはじめとした文化遺産の宝庫であり、日本の伝統文化が息づいており、1300年にわたり先人たちに培われ守り伝えられてきた有形無形の文化の厚みがあります。それらは人々によって今日まで継承され、日本人の精神構造の奥深い部分を形作ってきました。
私たちはこれらの文化資源に誇りを持つとともに、それらを最大限に活用し、奈良を世界に発信することによって、奈良固有の価値を高めなければなりません。
この有効な取り組みとして、地域固有の文化や資源を活かした、多種多様な表現に代表される創造的な活動が活発に行われ、その活動が新しい価値や文化、産業の創出や地域の活性化につながり、市民の暮らしの質や豊かさを高めていくという「創造都市」と呼ばれる理論があります。
奈良市も以前から文化振興条例(平成19年)やその具体的な計画としての文化振興計画(平成21年)などを策定し、国際文化観光都市奈良における文化による香り高いまちづくりの実現に向けて全庁的に取り組んでまいりました。
今回の創造都市ネットワーク日本への加盟は、これまでの奈良市の文化政策や取り組みを、他の創造都市とのネットワーク化によって、より大きな視点から検証し、環境、教育、福祉など文化以外の様々な政策にも活かしながら取り組んでいこうとするものです。
現在、創造都市は、様々な課題や求めに対して、“創造性”をもって取り組んでいる都市であり、多様な分野間の交流を促進し、創造的な人材の育成や集積、新たな産業の創出、地域の教育や福祉への貢献、市民活動の活性化など多方面への波及によって、暮らしの豊かさを高めようとすることから、今後の都市のあり方として注目を集めています。
※ 国内外の創造都市
世界の都市では、イタリアのボローニャやドイツのベルリン、中国の上海、イギリスのエジンバラ、オーストラリアのシドニーなど、国内の都市では、神戸市、名古屋市、金沢市、札幌市(以上ユネスコ創造都市ネットワーク登録都市)、横浜市、京都市、新潟市、浜松市などが創造都市の実現に向けた取り組みを進めています。
国においては文化庁が、文化や芸術の持つ創造性を地域振興、観光・産業振興等に横断的に活用し、地域課題の解決に取り組む地方自治体を「文化芸術創造都市」と位置付け、文化庁長官表彰の文化芸術創造都市部門(2007年度~)、創造都市推進事業(2009年度~)、創造都市モデル事業(2009年度~)など、創造都市への取組を支援しています。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)も、創造的・文化的な産業の育成、強化によって都市の活性化をめざす世界の都市が、国際的な連携・相互交流を行うことを支援するため、2004年から「創造都市ネットワーク」事業に取り組んでいます。「文学」、「映画」、「音楽」、「クラフト&フォークアート」、「デザイン」、「メディアアーツ」、「ガストロノミー(食分野)」の7つの分野で創造都市を認定し、相互の交流を推し進め、世界的な連携により創造都市を一層推進させる事業を行っています。
※ 創造都市ネットワーク日本(CCNJ)のホームページ
→ http://ccn-j.net/ (新規ウィンドウを開きます。)