里親制度ってなに?どんな生活をしているの?
耳にすることはあるけれど、実はよく知らない里親制度。
それなら、里親さんに直接聞いてみよう!ということで、里親さんに直撃インタビュー!
里親になったきっかけや子どもとの生活の様子など、いろいろうかがいました。
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第3回目は、養育里親の加藤さん(仮名)です。加藤さんは現在、元気いっぱいな姉妹を預かっています。
*養育里親…養子縁組を結ばずに一定期間、子どもを預かり育てる里親のこと。詳しくは里親制度のページをごらんください
【連載更新中♪】
平成30年度新連載「里親家庭におじゃまします!~里親を支える人たち編~」はこちら
【平成29年度の里親インタビューはこちら↓】(注:コラム内のお名前はすべて仮名です)
*第1回(小学生の女の子を預かる佐藤さん)へのインタビューはこちら
*第2回(子どもと特別養子縁組をした田中さん)へのインタビューはこちら
*第4回(ベテランの養育里親の山田さん)へのインタビューはこちら
*第5回(中高生を多く預かった養育里親の鈴木さん)へのインタビューはこちら
*第6回(特別養子縁組をした息子がもうすぐ成人を迎える高橋さん)へのインタビューはこちら
子どもたちの居場所づくりをしたいと思っていたんです
———-里親になったきっかけを教えていただけますか?
夫婦二人とも福祉職の仕事をしていました。自分の子どもたちを通じ、地域の子どもたちや子どもの友達に関わることが増え、子どもたちの居場所づくりをしたいとおもっていました。ただ、不特定多数の子どもが家に出入りすることにちょっと抵抗を感じていました。その時に夫から、「里親はどう?」と言われ、里親だったら特定の子どもと関わることができると感じ、そこから2人でよく話し合い、子どもたち(里親さん夫婦の実子)にも話し、里親登録をすることになりました。
この人たちは安全なんだろうか?と様子をうかがっていました
———-今預かっている子どもたちが家に初めて来たとき、どんな様子でしたか?
預かった初めの頃は、姉妹2人で来たこともあり、姉が妹をかばうような感じでした。妹のワガママもじっと我慢して遊んであげていたし、私たちのことも、この人たちは安全なんだろうか?というように様子をうかがっていました。妹の方は、姉がしっかりしていることもあり、特に緊張することもなく我が家に来ました。姉はまだ幼稚園の頃だったので、何か我慢しているものがあるのではないかと、とても心配しました。
———-お姉ちゃんの様子、ちょっと心配でしたね?
そうなんです。なので、年の割に大人びていた姉のほうに、あなたもワガママを言っていいんだ、子どもになっていいんだということを伝え続けました。その結果、今まで我慢できていた妹のワガママをゆるせなくなったんでしょうね、妹におもちゃを取られて怒るようになったり、自分がやっていたことを中断されて怒ったりと、それはもう、毎日毎日大喧嘩(笑)。大騒ぎで大変でしたが、やっと子どもらしくなってきたように感じました。
それが落ち着くと、今度は二人とも高熱が1週間ほど続きました。環境が変わって落ち着かなかったのが、そこで初めて気持ちが落ち着いたのかなと思っています。
———-妹もまたいろいろ大変だったんですよね?
今、姉は元気に小学校に通っています。妹の方は、姉が小学校に通うことをよくわかっていなかったようで、最初のうちは何もなかったのですが、ふといつも横にいた姉がいないことに気付いたようで、寂しくなったようです。特に私には、姉と同じように遊んでくれない!とおもちゃを投げる、私を蹴ったりたたいたりする、眼鏡を飛ばすなど、いろいろありました…。遊び相手をいくらしても、「遊んでくれない!!」と言い続けたので、それが一番しんどかったですね。夫に話したり、おしゃべり広場(注1)に行ったりして、なんとか気持ちが落ち着き、またしんどくなり…を繰り返し、最近やっと落ち着きました。
(注1)おしゃべり広場
県内で開催されている、里親さんのためのサロンです。
子どもを預かっている・いないに関係なく自由に参加でき、近況や里親同士の経験を聞きあって参考にしたり、児童養護施設に配置されている「里親支援専門相談員」がアドバイスをしたりしています。
息子と、子どものころの思い出話をすることが増えました
———-実子が2人いらっしゃるとお伺いしましたが…
息子と娘がいて、子どもたちはそれぞれ違った関わりをしています。長男はおっとりしているので、例えば眼鏡を投げられても「あれ?」という感じ。長男は騒がしい姉妹を通じて「家族」という時間を楽しんでいるように見え、姉妹は決して怒らないお兄ちゃんを安心できる存在と感じているようです。最近は、自分が子どもの頃は…あの時は…という話を私たちとする機会が増えました。
中学生の長女は今から思うと、赤ちゃん返りをしていました。子ども用のお菓子を食べたり、チャイルドシートに乗ってみたり。また、最初のうちは姉妹に遠慮して言い返すこともできず、「私が一番下だったのに!」と泣き出すこともありましたが、今はお風呂に一緒に入ったりと、何かと関わったり遊んだりしてくれます。先日、この子たちを寝かせてくれる?とお願いしたところ、疲れたら寝るだろうと自分なりに考えたらしく、姉妹と一緒に夜に部屋を走り回っていました。結局「この子たち寝ない~!!」と私に泣きついてきました。姉妹は逆に興奮してしまって寝られなかったようです。ドタバタと奮闘しながらですが、娘なりに可愛がってくれているようです。
電話をしていると「ママから?パパから?」と笑顔で聞いてきます
———-預かっている子どもたちは、実の親との交流もあるんですよね。
はい、そうなんです。私たちの希望としては、一度預かった子どもは18歳までしっかり育て上げたい(注2)という思いがありました。けれど、今預かっている子どもたちは、実の親との交流があります。正直、最初は複雑な思いがありました。
でも二人が楽しそうに親との面会に出かけていったり、日程調整の電話を児童相談所としていると(注3)、「ママから?パパから?」と笑顔で聞いてきたりする様子を見るにつれ、ただ純粋にこの子たちの幸せを願うようになりました。いつ親の元に戻るのかはまだ決まっていないのですが、それまでしっかりとこの子たちを受け止めようと夫婦で話しました。
(注2)養育里親は、子どもが親元に戻る、もしくは18歳で自立するまで養育します。
(注3)子どもをどの里親に預けるか決めたり、実の親との交流をどうするか決めたりするのは児童相談所の役割です。奈良県には2つの児童相談所(名称はこども家庭相談センター)があります。
地域の子どもたちに関わるきっかけをもらいました
———-里親になろうか迷っている人たちに一言お願いします。
仲の良い友人には里親研修を受けていた時から里親になることは伝えていたのですが、友人の中には、「里親」と聞いたときに、「海外セレブがやってるよね~」「すごいね」と言われたことがありました。
やってみると全然そんな感じではなくて、極端にいうと「私たちにできるのだからあなたにもできるわよ」という感じです。今まで地域の子どもたちの活動に関わってきましたが、子どもが中学生になってしまったので、そういったことから離れていました。でも、また小学生が我が家にいる状態になったので、また地域にも子どもたちにも関われる。そういうきっかけを与えてもらったのだと思っています。
今回はご自宅にうかがわせていただいてのインタビューでした。
小さな洋服が干してあったり、子ども用のビデオがあったり。
子どもの話をしながら目を細めている様子が微笑ましかったです。
次回は11月掲載の予定です。
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