以前省エネ住宅について触れましたが、そもそもどんな基準をクリアしたら「省エネ住宅」と呼ばれるのでしょうか。
住宅の省エネに関する基準
住宅の省エネルギー基準
「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)により、住宅の建築主に対して、一定の基準以上の省エネルギー性能の実現に対する努力義務を課しているのが「住宅の省エネルギー基準」です。昭和55年に省エネ法にて制定され、平成27年には建築物省エネ法に移行されていますが、法律の改正ごとに強化されてきました。
従来は、断熱性能や日射遮蔽性能など、住宅の外皮の性能を評価するものでしたが、平成25年に改正された現行の基準においては、外皮性能に加えて、住宅全体で使用するエネルギー量の二面から住宅の省エネルギー性能を評価するようになりました。日本全国を気候条件に応じて8つの地域に分け、その地域区分ごとに基準値が示されています。
外皮の熱性能基準
外皮の熱性能基準には、断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率UA」と日射遮蔽性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率ηAC」があります。いずれも「外皮の部位の面積の合計」に対する指標です。
各種制度と適用基準
建築物省エネ法では、「誘導基準」、「エネルギー消費性能基準」、「住宅事業建築主基準」の3つの基準があります。
ベースとなる基準として「住宅の省エネルギー基準」があり、それを上回る基準として「低炭素建築物の認定基準」、「住宅トップランナー基準」などが誘導するべき基準として設定されています。
低炭素建築物の認定基準
都市・交通の低炭素化・エネルギー利用の合理化を促進することを目的として「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)が制定されました。この法律に基づき、「低炭素建築物新築等計画の認定制度」(低炭素建築物認定制度)が創設されました。「低炭素建築物」として認定されると、所得税等の軽減等を受けることができます。
「低炭素建築物」の認定には、「住宅の省エネルギー基準」で定める一次エネルギー消費量に対し、一定の比率以上の削減がなされていることに加えて、低炭素化に資する措置を採用しているか、または、ライフサイクルCO2の排出量が標準的な住宅よりも一定以上削減されているとも認められることが必要です。
住宅トップランナー基準
「住宅の省エネルギー基準」においては、努力義務を負うのが「建築主」であるのに対して、「住宅トップランナー基準」では、構造・設備に関する規格に基づき住宅を建築し分譲することを業として行う建築主(特定建築主)や、構造・設備に関する規格に基づき住宅を建設する工事を業として請け負う者(特定建設工事業者)を対象としています。分譲戸建住宅・注文戸建住宅・賃貸アパートのトップランナー基準を定め、一層の省エネ性能の向上を誘導しています。
一次エネルギー消費量の評価基準
一次エネルギー消費量基準の評価では、評価対象住宅において、共通条件の下、設計仕様で算定した値(設計一次エネルギー消費量)が、基準仕様で算定した値(基準一次エネルギー消費量)以下となることが求められます。
目指すべき最終の水準は、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とされています。これは、外皮の断熱性能を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅のことです。
ZEH住宅については、また次回、詳しくお伝えしたいと思います!