前回、価格の基本的な考え方についてお伝えしましたが、今回は具体的にどういう手法があるのかを紹介します。
価格の評価手法を知る
売買を目的とした不動産の価格評価を一般的に「価格査定」といいます。価格査定には様々な手法がありますが、ここでは、(公財)不動産流通推進センターが発行する「価格査定マニュアル」を参考に、住宅地(土地)とマンションの価格査定のおおまかな仕組みを紹介します。ただし、価格査定には個別物件に応じた専門的な検討が必要であることに、留意してください。
取引事例比較法(土地やマンションの価格査定の基本的手法)
土地やマンションの場合、「取引事例比較法」により査定されることが多いようです。取引事例比較法は、売買しようとする不動産(以下「対象不動産」)と同じような不動産の取引事例等の価格と比較することで、対象不動産の価格を査定する方法です。
まず、対象不動産と取引事例等となる不動産を比較して、取引事例等の価格をベースに対象不動産のおおむねの価格水準を査定します。その上で、取引時期の違いについて、市場全体の動向を加味して一定の調整(これを一般的に「時点修正」といいます)を行います。
(1)取引事例等との比較
取引事例等となる不動産と対象不動産の個別性を比較します。(例えば、土地であれば、土地の形・面積・方位・接する道路の状況など、マンションであれば、階数、間取り、部屋の方位などを比較します。)
各比較項目について、対象不動産が取引事例等となる不動産より優れているのか、劣っているのかで、取引事例等となる不動産の価格を調整し、対象不動産のおおむねの価格を査定します。(例えば、対象不動産が取引事例等となる不動産より10%程度劣ると判断する場合は、取引事例等の価格を10%減価します。)
●取引事例等の選定に当たっての留意点
対象不動産と同じような不動産を取引事例等として選定しなければ、価格の判断を大きく誤ってしまいますので、慎重に取引事例等を選定する必要があります。以下に不適切な取引事例等の選定例を挙げます。
土地の場合
・住宅地の取引事例等として近隣の商業地を選定
・通常の住宅地の取引事例等として住宅地内の大規模な土地を選定
・住宅地の取引事例等として10年前の事例を選定
マンションの場合
・中古マンションの取引事例等として新築マンションを選定
・ファミリーマンションの取引事例等としてワンルームマンションを選定
・比較的築浅のマンションの取引事例等として築後数十年のマンションを選定
(2)時点修正
取引事例等となる不動産と対象不動産の取引時点を比較します。取引事例等の不動産が取引された時点から市場相場が上昇しているか、下落しているかで、価格に時点修正を施します。(例えば、取引事例等となる不動産が取引された時点より10%相場が下落していると判断する場合は、取引事例等との比較により算出した価格をさらに10%減価します。)
(3)その他留意事項
対象不動産の価格査定は、取引事例等との比較と時点修正のみで完結するものではありません。その他の要因も加味した上で、最終的な査定価格とする必要があります。価格査定に当たっては、不動産会社等の専門家へ相談することも大切です。
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